抗がん剤にはさまざまな種類があり、治療内容に応じて医師が薬剤を組み合わせて使っています。
そのため、薬剤によって起こる副作用も異なります。
実際にどのような種類があるのでしょうか。
今回は、抗がん剤の種類とそれぞれの効果や副作用について解説していきます。
抗がん剤の種類とその効果とは
抗がん剤の種類について、ここでは大きく4種類に分けて解説します。
細胞障害性抗がん薬
細胞障害性抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みに着目し、その仕組みの一部を阻害することで、がん細胞の増殖や成長を防ぐ作用のある薬です。
アルキル化剤
アルキル化剤は、薬の構造の一部に“アルキル基”があります。
このアルキル基が、がん細胞のDNAに結合して遺伝子を変性させることで、がん細胞の増殖や成長を抑えます。
(例)シクロフォスファミド、ブスルファンなど
代謝拮抗薬
代謝拮抗薬は、酵素のようなDNAを作る材料となる物質と化学構造が似ている薬剤です。
がん細胞に取り込ませることで、がん細胞の代謝を阻害します。
(例)テガフール系(TS-1・5-FU)、メトトレキサート、ゲムシタビンなど
プラチナ(白金)製剤
プラチナ(白金)製剤は、プラチナ部分ががん細胞内のDNA 鎖と結合することで、DNA の合成やそれに引き続くがん細胞の分裂を阻害します。
(例)シスプラチン、カルボプラチンなど
植物アルカロイド
植物アルカロイドは、植物から抽出された成分をもとに作られた薬剤です。
がん細胞は細胞分裂を活発に行うことで増殖しますが、その増殖に重要な微小管の働きを阻害する作用があります。
(例)イリノテカン、ドセタキセル、パクリタキセル、ビノレルビンなど
抗がん性抗生物質
抗がん性抗生物質は抗生物質の中でも特に細胞のDNA合成を阻害したり、DNA鎖を切断したりする作用を持ち、がん細胞の増殖を防ぐ働きがある薬剤です。
(例)ブレオマイシン、マイトマイシンCなど
分子標的薬
がん細胞の増殖に関わるたんぱく質や、がんを攻撃する免疫に関わるたんぱく質など、がん細胞だけがもつ分子を標的にしてがんを攻撃する新しいタイプの薬です。
小分子化合物
小分子化合物は薬の成分となっている分子量が小さいため、がん細胞の内部に入り込むことができ、標的にしたたんぱく質に結合します。
その結果、がん細胞の増殖に関与するシグナル伝達を阻害する働きがあります。
(例)ゲフィチニブ、イマチニブ、オシメルチニブなど
抗体薬
抗体薬は、特定のたんぱく質を標的として働く薬です。
抗体薬にはさまざまな種類のものがあり、現在も開発が進んでいます。
例えば、がん細胞の表面にあらわれるたんぱく質と結合し、細胞を直接攻撃するものがあります。
(例)トラスツズマブ、リツキシマブ、ニボルマブなど
ホルモン剤
ホルモン剤は一部のホルモン依存性の乳がんや前立腺がんなどの性ホルモンによって増殖するがんに使用されます。
さらに、ホルモンの分泌を抑制したり、ホルモンが受容体と結合するのを阻害したりする作用があります。
(例)タモキシフェン、リュープロレリン、アナストロゾールなど
免疫関連薬
免疫チェックポイント阻害薬
私たちのからだの中にある免疫細胞のうち、「T細胞」にはがん細胞を攻撃する性質があります。
T細胞が弱まったり、がん細胞がT細胞の働きを弱めてしまったりすると、がん細胞を排除しきれずに、がんがからだの中でどんどん増えてしまいます。
免疫チェックポイント阻害薬によって、T細胞ががん細胞を攻撃する力を保つ、または、攻撃する力を強めることによってがん細胞を抑えます。
(例)ニボルブマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブなど
サイトカイン
サイトカインは全身に作用して、T細胞やNK細胞などの免疫細胞を活性化させ、がん細胞への攻撃を助ける働きがあります。
(例)インターフェロンα、β、γ、インターロイキンなど
抗がん剤の種類別の副作用とは
次にそれぞれの種類別の副作用についてご説明します。
細胞障害性抗がん薬
昔から使用実績のある抗がん剤ですが、がん細胞以外の正常な細胞にも作用してしまうため、副作用の発現頻度が高くなってしまいます。
副作用には、自覚症状で分かるものと、採血検査でしか分からないものがあります。
【自分で分かる副作用】
治療直後:アレルギー反応、不整脈
1~2週間:吐き気や食欲低下、口内炎、下痢、全身倦怠感
2週間以降:末梢神経障害(手足のしびれなど)、脱毛
【採血検査で分かる副作用】
・白血球や血小板の減少、貧血
・肝機能障害や腎機能障害
分子標的薬
一般的に、分子標的薬はがん細胞だけをターゲットにした薬のため、副作用は細胞障害性抗がん薬と比べると起こりにくいと言われています。
しかし、細胞障害性抗がん薬では見られなかった副作用が発現したり、重要な副作用が発現したりする場合もあります。
例えば特徴的な副作用として以下のようなものがあります。
皮膚障害
ニキビのような発疹や、爪のまわりの炎症、手足の腫れや痛み、光線過敏症など、分子標的薬の種類によってさまざまな皮膚障害があります。
輸注反応(インフュージョンリアクション)
輸注反応は、サイトカインの放出に伴う一過性の炎症やアレルギー反応です。
発熱、頭痛、嘔吐、呼吸困難、血圧低下、アナフィラキシーショックなどの症状を引き起こします。
多くは治療開始後24時間以内に現れます。
高血圧
特に血管をつくる働きを阻害する種類の薬を使うと、高血圧になることがあります。
ホルモン剤
ホルモン剤も細胞障害性抗がん薬に比べると、副作用は起こりにくいです。
発現する主な副作用としては以下のようなものがあります。
・ほてりやのぼせを感じるホットフラッシュ
・骨密度の低下
・性器出血など生殖器に関する症状
・気分の落ち込みや不眠
免疫関連薬
新しい薬である「免疫チェックポイント阻害薬」は、細胞障害性抗がん薬と比べると、吐き気や脱毛などの副作用は少ないと言われています。
しかし個人差が大きく、いつ、どのような副作用が起こるか予測がつかないことがあるため、注意が必要です。
代表的なものには、呼吸器症状、消化器症状、甲状腺機能異常などがあります。
また、サイトカイン薬は吐き気の副作用が高い頻度で起こり、インターフェロンを使用した9割の患者さんには、インフルエンザにした高熱や倦怠感のような症状が起こります。
医師と相談しながらご自身に合った治療の選択を
抗がん剤治療に使われる薬剤の数が多い分、さまざまな副反応があります。
医師は、たくさんの抗がん剤治療薬の中から、患者さんの状態やがんの種類、進行度などから判断して使う薬剤を決定します。
しかし、副作用の出方には個人差があります。
あまりに副作用がひどくて治療が辛い場合は、医師に相談してみましょう。