エリブリン療法は、細胞内組織にある微小管の働きを妨げることにより、細胞分裂を停止させ、死滅させる働きを持つ抗がん剤を用いた治療法です。
エリブリンは、なかでも再発した乳がんや悪性軟部腫瘍などの治療に効果的な薬剤として使用されている薬剤です。
本記事では、乳がん治療などで使用されているエリブリン療法の概要から使用方法、副作用までを解説します。
1.エリブリン療法の概要
エリブリン療法(商品名:ハラヴェン)は、クロイソカイメンという海洋生物から抽出したハリコンドリンB1という物質から開発された抗がん剤です。
この療法は、細胞内組織である微小管の働きを妨げることにより、細胞分裂を停止させ、がん細胞を阻害・死滅させます。
エリブリン療法は、静脈注射か点滴で2~5分という短時間で投与する薬剤で、再発した乳がんや軟部組織肉腫の治療に効果が期待できます。
2.エリブリン療法とは?
エリブリン療法は、投与することで、細胞分裂時に必要な成分である微小管を構成するチュブリンというたんぱく質の分子の結合を阻害することで、がん細胞を死滅させます。
また、エリブリンは腫瘍の微小環境にも影響を及ぼし、がん細胞が栄養や酸素を取り込む能力を低下させるともいわれています。
この複合的な作用により、エリブリンは進行がんの治療において重要な役割を果たす可能性があるといえるでしょう。
3.治療における使用方法と投与量
ここではエリブリンの一般的な治療における使用法と投与量を解説します。
正確な使用法と投与量は、患者さんの体格や健康状態、病気の進行度から医師が判断します。
3-1. エリブリンの一般的な使用方法
エリブリンは、週1回、2~5分かけて静脈注射で投与します。
投与時間が短いため、点滴で時間をかけて投与する必要がないのが特徴です。
1回の投与自体はすぐに完了しますが、エリブリンの薬剤には、少量のアルコールが含まれているため、投与の際はアルコールに対する反応が出やすい方には注意が必要です。
3-2.エリブリンの投与量と周期
エリブリンの投与量や周期は以下のとおりです。
エリブリンの投与量 | 1.4 mg/m²の体表面積に基づいて計算 |
エリブリンの周期 | 2週間連続投与後、3週目休薬を1サイクルとして行う |
エリブリンの標準的な投与量は、体表面積に基づいて計算されます。
多くの場合は、1.4 mg/m²の体表面積に対する投与が推奨されており、3週間のサイクルの初日と8日目に行われることが一般的です。
この周期により、がん細胞に対して持続的な影響を与えつつ、体が回復するための十分な時間を確保します。
また、医師は患者さんの反応や耐容性に応じて、この投与量を適宜調整します。
4.エリブリンの副作用
エリブリン療法は、投薬する際に副作用が起こる場合があります。
起こりうる副作用は以下のとおりです。
副作用 | 説明 |
---|---|
発熱 | 治療後約3日以内に発熱が見られる場合があります。白血球減少による感染の徴候であることも起こりうるため、速やかに担当医に相談しましょう。 |
便秘 | 消化系の影響により腸の動きが弱くなり、便秘が起こる場合があります。適切な治療や食生活の調整などが必要です。 |
脱毛 | エリブリンは髪の毛の成長にも影響を与え、脱毛を引き起こすことがあります。発毛するまでの間は医療用ウィッグを使用することが効果的です。 |
倦怠感 | 身体が重く感じる場合があります。倦怠感がある場合は、無理をせず休息するようにしましょう。 |
吐き気 | エリブリンによる吐き気は比較的少ないといわれていますが、患者さんによっては吐き気や食欲低下が起こる場合があります。 |
骨髄抑制 | 白血球や赤血球の数値が低下し、感染症や貧血のリスクが高まります。 |
肝機能障害 | 定期的な血液検査により肝機能の変化を監視し、必要に応じて治療を調整します。 |
末梢神経障害 | 手足のしびれや痛みが生じることがあり、重症化すると日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。症状緩和の薬があります。 |
味覚障害・食欲不振 | 食事への関心の低下や味覚の変化がある場合は、まずは無理なく食べられるものを食べましょう。栄養相談を受けることも可能です。 |
エリブリン療法で再発した乳がんを抑える
エリブリンは再発した乳がんや悪性軟部腫瘍に効果的であるといわれている薬剤を用いた治療法です。
1回の投与が数分の静脈注射で完了するため、あまり時間がかからないのも利点といえるでしょう。
しかし、投与後に起こりうる副作用はさまざまあるため、事前の副作用に対する理解や対処が必要です。
また、副作用には個人差が大きく出る事があることも理解する必要があります。
エリブリン療法を受ける際は、これらの情報を十分に理解した上で、適切なサポートを受けることが治療の成功へと繋がるでしょう。