アートメイクと聞くと「美意識の高い人が行うもの」「メイクの時短のためにするもの」と思い浮かべる方は多いです。
しかし、昨今では脱毛症や抗がん剤治療など、疾患や内服の影響によって眉毛やまつ毛などの脱毛が進んだ方に対してもアートメイクが推奨されています。
今回は、抗がん剤治療を始める前や治療中の方へ向けた、がん医療アートメイクについて解説します。

そもそもアートメイクとは?
アートメイクとは、皮膚の浅い層に色素を入れて眉を描いていく施術です。
個人差はありますが、1~3年の持続性があります。
通常のメイクとは異なり、皮膚内部に色素を入れているため、クレンジングや洗顔をしても落ちません。
美容のイメージが強い一方で、がん治療に伴う脱毛で変わってしまった見た目を補完したり、精神的負担を軽減したりする「アピアランスケア」の一環としても注目されています。
アートメイクが施術できる部位は?
アートメイクは眉以外にもアイラインやリップの施術が可能です。
また、乳がん手術後の乳輪乳頭を再建したり手術の傷跡を目立たなくしたりする「パラメディカルピグメンテーション」などもあります。
タトゥーとの違いは?
アートメイクは肌の表面に近い表皮層に色素を入れる施術です。
表皮層には一定の周期で肌細胞が生まれ変わる肌のターンオーバーが行われています。
そのため、徐々に薄くなっていくのが特徴です。
一方、タトゥーは表皮層より深い真皮層に色素を入れます。
皮層にはターンオーバーがないため、タトゥーの場合は半永久的に色素が残ります。

アートメイクはどこで行えばいい?
アートメイクは医療行為です。
そのため、医師もしくは医師の指示のもとで行う看護師のみしか施術ができません。
また、アートメイクは医師のいるクリニックで行います。
なかには、医師や看護師の資格がないのに施術を行う違法サロンもあるので注意しましょう。
がん治療を行う方にとってのアートメイクの役割

がん治療を行う方にとって、アートメイクはアピアランスケアの役割を担っています。
アピアランスケアとは、がんや治療によって変化する外見を補完したり、外見の変化にともなう精神的な苦痛を軽減したりするケアのことです。
抗がん剤治療を例に見てみましょう。
抗がん剤はがん治療に有効な手段ですが、副作用である脱毛に悩まされる方が多いのが現実です。
その理由としては、毛髪だけでなく、顔の印象を大きく左右する眉毛やまつ毛がなくなることにより、想像以上に自分の顔の印象が変わり、表情がわかりにくくなることがあります。
そのため、脱毛後に表情を失い、ショックを受ける方も多くいるでしょう。
そこで、アートメイクを予め施しておくことで、脱毛後にも眉毛が顔に残り、表情の大きな変化を感じずに済みます。
眉毛にアートメイクを施しておけばキレイな眉をキープでき、アイラインアートメイクは目元の印象を保つのに効果的です。
がん医療アートメイクはがん患者・経験者のQOL(Quality of life)の向上、つまり「生活の質向上」や「こころの健康づくり」をサポートし、患者様の表情を守ります。
そのことをぜひ覚えておきましょう。
抗がん剤治療前のアートメイクがおすすめ、治療中や治療後は主治医へ相談を

抗がん剤治療を控えている方は、なるべく治療が始まる前にがん医療アートメイクを行うことをおすすめします。
そのタイミングをおすすめする理由は2つあります。
1つめの理由は、自眉毛が生えているうちにがん医療アートメイクを受けることで、副作用による脱毛による表情の変化を和らげられるためです。
脱毛前の眉の形や表情を残すことは大きな安心感につながります。
2つめの理由は、実際に治療が始まり眉毛が抜けてきたときに、アートメイクで入れた眉がある安心感から、脱毛による精神的負担を軽くできます。
患者さんの中には、抗がん剤の治療中や治療後にアートメイクを受けたくなる方もいるでしょう。
眉毛が抜けてしまったあとにがん医療アートメイクを行う場合は、今までの眉毛のある顔写真を施術者に見せて、眉をデザインしてもらうことがおすすめです。
ただし、アートメイクを行う際は、治療を行っている、または行っていた主治医へ許可をもらってから施術を受けるようにしましょう。
抗がん剤治療を行う人の身体と心をサポートするがん医療アートメイク
抗がん剤治療の副作用による脱毛や外見の変化は、予想以上に患者さんの気持ちを不安にさせるものです。
しかし、治療前にがん医療アートメイクを受けることにより、抗がん剤の副作用による眉の脱毛での顔の表情の消失を守り、脱毛による精神的苦痛を軽くしてくれます。
がん医療アートメイクは、そんな患者さんの気持ちを支えてくれる力強い存在ともいえるでしょう。
がんの治療において、患者さんの身体と体のサポートは必要不可欠です。
これから抗がん剤治療を始める方は、治療の前にがん医療アートメイクを行うことをおすすめします。